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ビタミンF  新潮社  重松清

f0071477_2324222.jpg「家族小説」の最高峰。いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の"中途半端"な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるか――」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。

Family,Father,Friend,Fight,Fragile,Fortune・・・「F」で始まるさまざまな言葉を、個々の作品のキーワードとして物語に埋め込んでいる。

筆者の文体はとても読みやすく、現実味を帯びた会話からその世界に非常に入りやすい。
40歳前後の、虚勢を張るにはちょっと遅く、すべてをあきらめるにはちょっと早い、若くはないけど、年をとっているわけではない、微妙な年齢の父親。
どの話も最後には、ちょっとホッとできる内容になっているので救われるが、それまでの過程は非常に生々しく痛い。
主人公と同世代の私にとっては、日ごろ気づかないふり、見ないふりをしているようなことを、主人公と一緒につつかれるような、そして現実をつきつけられ回答を求められるようなそんな胸の痛くなるような内容が続く。
主人公に対して、逃げてるとかもっと妻や子供や家族のことを考えるべき・・・などをいうのは簡単。
でも、果たして自分がこの主人公と同じ立場になったら、そんな立派な対応ができるのか?
結局、同じように悩み苦しみ、行動をおこせず問題に蓋をするようなことをするのではないか?そんなことまで考えさせられる。

読了後、すっきり元気!というような本ではない。
でも、胸の中にたくさんの波紋ができ、自分の言動を見つめなおすという意味では心のビタミンになっているのかもしれない。
第124回 直木賞受賞作品。
by ohtanmak | 2008-10-21 23:23 | 読書記録
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