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手紙  文藝春秋  東野圭吾

手紙  文藝春秋  東野圭吾_f0071477_23273035.jpg強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動の渦を巻き起こした問題作。

先月映画化された作品をDVDで見て、とても心に残ったので原作を読んでみたくなり、図書館で借りました。非常に重いテーマで読むのも辛くなるほどです。

犯罪者を家族にもった主人公が、世間からの差別に何度も傷つき、苦しみ、時に怒りさえ感じながらも、なんとか家族で生きていくことを選択していく。
「辛くても逃げずに正直に生きれていれば、差別されながらも道は拓けてくる。」そう、夫婦で決意し前向きに歩もうとしていても、そんな行動すら甘えであり、自分達の自己満足だと指摘を受ける。

犯罪者の家族というだけで、罪もない人間が受ける差別。
どうしようもなく理不尽に思えるが、人は危険なことには巻き込まれたくない。
正論からいえば、その人たちを受け入れてあげるべきだというのは簡単だ。しかし犯罪者やその家族を排除するということは、普通の人が安心して暮らしていくために必要なこと。自己防衛ともいえると登場人物の一人がいう。それも一理あるかもしれない。
犯罪者は自分の罪だけでなく、その家族が一生受けるであろう差別という点についても罪を犯していると述べている。
読みながら、そして読み終わってからもずっと、どうあることが一番正しいのか?そもそも正しい結論などあるのか?と考えてしまった。本当にたくさんの問題を提起した作品でした。
by ohtanmak | 2008-01-15 22:41 | 読書記録

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