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君去りしのち 重松清

幼い息子を喪った父。
「その日」を前にした母に寄り添う娘。
日本の美しい風景の中、生と死がこだまする。父娘の巡礼の旅。
鎮魂と再生への祈りを込めた物語。

前半はただただ重い。なかなか進まず読むのをやめようかとさえ思った。
娘が救いだ。元父と一緒に旅をするにつれ少しずつ成長して行く。周りを見て行動するようになり、そして余命わずかとなった母の生き方を見ながら一人立ちしてゆく。母娘の安蘇の野焼きのシーンが非常に印象的だった。
「生」と「死」をそれぞれ受け入れること。これは非常に難しい。家族を失った悲しみや喪失感は忘れるのではなく、気持ちの折り合いをつけること。
丁寧に描いているようでいて、私には主人公のセキネさんになかなか共感できない。一人悲しみにくれ、肝心なところから目を背けているようにしかみえない。
最近の重松作品は、なかなか心に響くものがない。著者の作風に慣れてしまったのか?とも思ったが、同じような感想を持っている人もいるようだ。
それでもやはり好きな作家の一人なのでまた次の作品との出会いに期待する。
by ohtanmak | 2014-06-04 08:30

日々の出来事を。
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