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カシオペアの丘で(下)  講談社  重松清

カシオペアの丘で(下)  講談社  重松清_f0071477_229511.jpg限られた「生」の時間のなかで、家族へのこす言葉を探すために、俊介はふるさとへ帰ってきた。幼なじみとの再会を果たし、過去の痛みを受けとめた俊介は、「王」と呼ばれた祖父とともに最後の旅に出る。未来を見つめ、過去と向き合う。人生の締めくくりに俊介が伝えたものは―。大空に輝き続ける命の物語。

大人になり、子供の頃に夢描いたカシオペアの丘で再会を果たす4人の思い。お互いを思いやりながら複雑な4人の想いが交錯する。
それぞれが誰かに「ゆるして」もらうことを待っている。家族に、夫に、妻に、孫に、被害者に。
人を責めることはたやすい、しかし「許す」ことは難しい。そして「他人を許す」よりも「自分が自分を許す」ことはもっと難しい。また心の底では許してやりたい相手を、ずっとゆるさないまま生きていくことは寂しい。

死が近づいていく主人公を取り巻きながら、関わる一人ひとりが過去を振り返り、今を見つめ、やがて苦しみから解き放たれたように自分を許し、未来へ歩みだしていく。
それぞれの人物描写が非常に丁寧に描かれ実在する人物のように迫ってくる。
重く、辛い内容も多い。しかし、そこに風穴が通りやがて澄んだ空気が入ってくるようなそんな読了感がある。
読み応えのある1冊です。

ただ、若干盛り込みすぎな感もあり、同じ「命」をテーマにしたものであれば、「その日のまえに」の方が私は好きです。
by ohtanmak | 2009-02-24 21:51 | 読書記録

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